土壇場で出る本性


実戦練習でサイコロの取り出しを間違えた。

もう何日も麻雀牌に触れていなかったというのは言い訳にもならない。毎日麻雀の動画を見て家には牌もあるんだ。出た目の11がどうしても「3残し」と頭から出力されてしまって、正しく取り出そうとした親に余計な指摘を入れてしまった。

「ああ、こういう出来事で麻雀を辞めたくなることがあるのかな」とふと思った。麻雀を考える時間は変わってないし、むしろSNSや連絡ツールが前より身近になった以上、より濃い麻雀の話題の中で毎日過ごせていると思う。ただ、この手のミスはひきずってしまう。

落ち込むとは違う、なんだか締念のようなものが浮かんで来た。それを見越したか講師役の先輩が「小林は忙しいし麻雀打ってないんだよ」と一言。誰だって忙しい。消えてしまいたい気持ちになる。それに続けて彼は「何カ月か麻雀しなくなると取り出しがわからなくなる。俺も経験あるけど」と言ってくれた。そんなはずはないのに。

場面は変わって、ついさっき、最後だけ見たタイトルの決勝戦。そこではとある選手に、すぐ目の前に逆転優勝の条件があった。迷った末のリーチ、すぐに引き寄せた優勝のツモをその選手はそっと置いた。1分を超えただろう大長考の末のアガリ。手順や判断についてはよく見ていないからわからないけど、とにかくその、そっと置いたということが強烈だった。力が入らないほうがおかしい。どうしてそんなに落ち着いた所作ができるんだろう。こういうことばかり考えてしまう。ひとしきり考えてから、また映像をたどって、競っている相手にも勝機はあったなとか、自分ならこうなっているかもなどあれこれ巡らせる。

たぶん、その冷静さの裏にあるのは謙虚さなんだと思うのですね。麻雀って難しいから、どんなにわかってもわからないことばかり。いつも勝ちっ放しの人はいないし、負ける怖さや辛さを痛感して、それでも続ける人がいつかは勝つ、こともあるという世界。勝ち負けを繰り返す中で、たぶんその優勝者はいろんな負けを経験して、心が折れそうになりながらも続けて、勝ちをたぐり寄せた。いろんな思いがありすぎて、力が入るよりいつもの所作が勝手に出た、脳がそうさせたんでしょう。

そういえば先述の先輩も、うちの一番大きいタイトルを勝った時に、カン2sのリーチをそっとツモっていたな。お酒を飲んだら、いや飲まなくてもすぐ感情的になるし怖いイメージばっかりだけど、本当は謙虚で、麻雀の難しさを知り尽くしている人なんだろう。そうでしょう、河野さん。



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小林景悟

Author:小林景悟
RMUという競技プロ麻雀団体に所属しています。コピーライター、講師。

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